夢いっぱいの部活動だったはずなのに・・・
中学校に上がるとき、高校に上がるとき、子ども達は部活動を頑張ろう!と希望に燃えています。
それなのにいつの間にか子どもが「やめたい!」と言い出し、困っている親御さんも多いと思います。
はじめは楽しそうに部活に行っていたのに、最近「行きたくない」と言い出して困っている。
高いお金を払って部活の道具を揃えたのに、辞めたいと言い出してあきれている。
親としては部活を続けてほしいが、そこまで嫌ならやめさせてもいいかなとも思い迷っている。
部活をやめて何か他に頑張るものを見つけてほしいが、ダラダラ過ごすだけになってしまうのではないかと悩んでいる。
せっかく入った部活動、子どもが一度は”頑張ろう!”と決意した部活動。
親としては部活動を続けてほしいと思うのは当然ですよね。
しかし子どもが部活動について悩んでいる様子が見えると、”本当にこの子にとって部活動は必要なものなのか?”と悩まれる親御さんが多いです。
では子どもが部活動をやめたいと言い出したのはなぜでしょうか?
その理由と子どもが親に部活動の悩みを相談してきたときの対応方法をご紹介します。
子どもが部活をやめたい理由
子どもは学校生活をより充実させるために部活動に入ります。
運動部でも文化部でも、子どもは部活動に入ってチームワークを発揮して良い成績をとれるように頑張ることを主な目的にしています。
また文化部では、部活動は友達と楽しく活動できる場であるという認識が強いです。
出典:文化庁「文化部活動の現状について」平成30年7月
子どもにとって部活動に所属している理由は、とても前向きなものが多いです。
しかし部活動がこれらの目的を果たせないものになってしまうと、子どもは部活動を”やめたい”と思うようになります。
またやめずに部活動を続けている子どもでも、部活動の悩みはたくさんあります。
出典:文化庁「文化部活動の現状について」平成30年7月
これらの悩みを見ていると、子どもにとって部活動を続けることはなかなか難しいことのようにも感じます。
しかし、悩みながらも続けようとする子がいる一方で、うちの子はなぜ辞めたいといいだすのか?
お母さんも悩ましいことだと思います。
子どもが部活動をやめたい理由は大きく分けて4つです。
1.人間関係に悩んでいる
部活動ではチームワークを深めることや個々の技術を高めることが目的になる場合が多いです。
部活動の人間関係が良い状態だと、これらの目的を達成するために集中して部活動に取り組むことができます。
しかし部活動の人間関係が良くないと、チームワークや技術面よりも人間関係の不満や不安が子どもの心を占めるようになり、部活動に行くことがしんどくなります。
友達と楽しく活動するために部活動に入っている文化部の場合も、他の子どもとの人間関係が悩みに大きく挙がっています。
大人でも同じです。仕事自体はやりがいがあって楽しいけれど、同じ部署にどうしても苦手な人がいる・・。その人と”毎日コミュニケーションをとらないといけない!”と思うだけで億劫になりますよね。
部活動の人間関係は幅が広いです。
これらすべての人間関係を良好にするのは子どもにとってとても難しいことかもしれません。
部活動の人間関係の悩みでよくある4つのパターン
また部活動の人間関係の悩みはさまざまなパターンがあります。
・子ども本人が人間関係に悩んでいる場合
・部活動内の人物間の関係(先輩同士のいざこざなど)に悩んでいる場合
・部活動の嫌な雰囲気に悩んでいる場合
・顧問との関係に悩んでいる場合 など
人間関係がしんどくて部活動の場所に行きたくないと思い、やめたいと考えるようになるケースです。
2.部活よりもやりたいことができた
子どもが部活動で過ごす時間はとても長く、多くの部活動はほとんど毎日活動しています。朝練や休日の一日練などもあります。
部活動よりもやりたいこと、興味があることができた場合、活動時間の長い部活動は子どもにとって苦痛に感じるものになります。
大人でもよくあることです。
【英会話を習おう!】と意気込んで英会話教室に通い始めた。
しばらくして
・仕事が忙しくなって英会話に割ける時間がなくなった
・仕事帰りにわざわざ教室まで通うよりも家でゆっくりしたい
・毎回の復習や宿題をやる意欲がなくなった
・英会話よりもヨガに通いたくなった など
色んな理由で英会話教室を辞めたくなった。
実際私もこれらの理由で英会話教室をやめました。
子どもの部活動でも同じです。
【部活を頑張ろう!】と意気込んで部活動に入った。
しばらくして
・他の部活動をやりたくなった
・(高校生ならば)バイトをしたくなった
・勉強時間を確保したくなった
・もっと家でゆっくりしたい
・友達と遊ぶ時間がほしい など
色んな理由で部活動を辞めたくなった。
生活のなかで部活動の優先順位がさがることで部活動への意欲が下がるケースです。
3.部活で成果が出ない
部活動では個々の技術を高め、チームの勝利に貢献することが大きな目的になります。
チームの勝利に貢献することはプレーヤーとしてだけではなくさまざまな貢献の仕方がありますが、プレーヤーとして成果が出ないと一気に情熱がなくなり、部活動をやめたいと感じる子どもも多いです。
・練習が厳しすぎてついていけない
・努力がなかなか実らず、レギュラーになれない
・ケガをしてライバルにポジションをとられると焦り、急激にモチベーションが下がった など
反対に練習が緩すぎて刺激が少なく、もっと勝てるチームで活動したいと考え、部活動をやめたいと思う場合もあります。
これらは”自分がチームに貢献すること”や”チームが勝利すること”を理想として部活動に情熱を注いだものの、現実が大きくズレていて悩んでいます。
大人になっても就職したものの”自分が思っていた仕事とは違った・・・”と感じ、仕事をやめたい!と思うことがあります。これと同じで理想と現実のギャップに苦しむパターンです。
4.成績が下がった
部活動に入っている子どもは”勉強と部活動の両立が大切!”ということを十分理解しています。
しかし前述の通り、部活動は子どもの多くの時間を費やします。体力も使います。
その分、子どもが勉強に使える時間が減り、勉強する体力も残っていない日も多いです。
テストの点数が下がったり、授業中に眠たくなったり体がだるくなったりすると、”部活動がしんどい・・””部活動さえなければ・・”と感じるようになります。
また中学校や高校は3年生で受験を迎える子どもが多いため、自分の成績が悪くなったり、周りの子ども達が成績を伸ばしたりしていると、”部活をしている場合じゃない”と思う場合もあります。
部活動をやめたい子どもに対する親の接し方
大前提として覚えておいて欲しいコトはコチラ。
始めに相談してくれたコトを褒めてあげる。
『部活を辞めたい』と相談された時は、どうしても辞めさせたくない気持ちが先行してしまい、怒ったり子どもの話を聞かなかったり、ということが起こりがちです。
ただ悩みを相談する時は、私たち大人でも言い出しにくいコトがあるのと同じで、子どもも勇気を持って相談をしてくれています。
そのため、まずは「よく話してくれたね。」と受けとめてあげてください。
まずは子どもの理解者になってあげる
そうすることで、子どもは”お母さんなら話を聞いてくれる。””わかってくれる。”と心を軽くすることができます。
ここで避けたいのは、「親が部活動をやめさせてくれない!」と子どもが親に対して不満を抱くことです。
子どもはすでに部活動のことで悩んでいます。親がまずは子どもの味方になってあげてください。
【部活をやめたい理由別】対応する方法を紹介
次に大切なのは、”子どもがどうしたいのか?”という意見を尊重してあげるコトです。
本当に辞めたいと思っているのであれば、その意見を尊重する。
この言葉を伝えた上で、子どもと話をすると良いでしょう。
さて、これを踏まえた上で『子供が部活を辞めたい』と言ってくることが多い4つの理由の対応方法をご紹介していきます。
1.人間関係に悩んでいる
まずは部活動の顧問に相談しましょう。
相談しにくい場合は、学級担任でも構いません。
人間関係は相手があることなので、家だけで解決することは難しいです。
人間関係で悩んでいる場合、子どもはかなりの期間我慢してから相談することが多いです。
また人間関係のトラブルやそれに伴う不安は、今後の生活に大きく影響します。
トラブルの当人同士の問題解決と今後の関係についての話し合いも必要になります。部活動での対応も顧問に相談できれば安心です。
しかしお母さん一人だけで抱え込むと、今度はお母さんがしんどくなります。
関係する大人に広く知ってもらえると、親子とも今後も安心して部活動をすることができます。
人間関係については遠慮なく学校に相談してみましょう。
もし相談しても関係が良くならない場合は、部活動をやめる方向で子どもと一緒に考えてあげてください。
2.部活よりもやりたいことができた
まずは子どもの”○○したい”に何が込められているか確認しましょう。
部活動は中学校の間、もしくは高校の間、と期間が決まっています。
大人から見れば『中学校、高校の”たった2年半”ぐらい、部活動を続けたらいいのに。』と思いますが、子どもにとっては感覚が違う可能性があります。
子どもは”自分が楽しいと感じることをやりたい!”と思っています。
ぜひこの悩んでいる機会を利用して、一緒に考えてあげてください。
例)子どもが”他の部活動をやりたくなった”場合
・他の部活の方が先輩との関係が良さそうだから
→人間関係は大切です。この場合はまず人間関係の悩みとして聞いてあげましょう。
・高校になって新しい部活に入ったが、中学校までの部活をまたやりたくなったから
→子どもが熱中できることに取り組めることが大切です。子どもの様子をよく見て、部活を変えるか話し合いましょう。
例)子どもが”バイトをしたくなった”場合
・もっと高いギターを買って練習に励みたい
→部活動以外のことに子どもがどれだけ生き生きと取り組めるかを見極めましょう。
・友だちと遊ぶお金がほしい
→社会での勤労体験は大切です。子どもがどのような生活をしたいのか、話し合ってみましょう。
このように、子どもにとって成長できる場所は部活動以外にもたくさんあります。
『部活動を辞める』という一見後ろ向きなことを、子どもは前向きに考えている場合があります。
『子どもがどんな生活を送りたいと思っているのか』子どもの意思を確認してあげてほしいです。
3.部活で成果が出ない
まずは子どもが”部活動で得るものがある”と感じられているかを確認しましょう。
部活動の楽しさは技術を高めたり、チームワークを発揮して良い成績をとれるように頑張ったりすることで感じられます。
しかしチーム事情やケガなどの個人的な理由で、部活動をつらいと感じるときもあります。
つらいと感じるときに、精神的に鍛えられたり、チームに貢献するために自分の良い所を伸ばすように考えたり、子どもが成長できる機会だと捉えられることが大切です。
“つらい体験”を”自分の成長”につなげることができれば前向きになれる。
しかし、子どもにとって初めての経験であったり、何度も繰り返されていることであったりすると、一人で這い上がるのは難しいかもしれません。
子どもが”もう無理だ、部活動で得られるものはない”と感じている場合は、癒し寄り添ってあげてください。
今まで頑張ってきたことを認めて、部活動を辞めることを視野に入れてあげましょう。
一方、子どもが”実は続けたいが、どうしたらいいかわからない”という場合は、なるべく具体的に子どもが集中すべきことを決めて応援してあげましょう。
バレーボール部の場合
・後輩への指示を誰よりも早くする
・ピンチサーバーで入ったときに雰囲気を変えられるように、誰よりも大きな声で練習し、攻撃的なサーブを練習する など
吹奏楽部の場合
・誰よりも早く部活に行って、準備に取りかかる
・毎日腹筋、背筋、体幹トレーニングをして姿勢よくする
・ブレスコントロールの練習を毎日○分して、音を安定させる など
「昨日は○○までだったが、今日はここまでできた」など日々の成長を確かめてあげてあげてください。
またケガなどで落ち込んでいる場合は、まずは心のケアを一番に、具体的にするべきことを一緒に考えてあげてください。
4.成績が下がった
まずは子どもが”部活動と勉強の両立はできそうか”を確認しましょう。
部活動と勉強の両立は、子どもにとって大変なことかもしれません。
ほとんどの大人は『部活動は最後までやってこそ、勉強に切り替えることができる』と思っているのではないでしょうか。
部活動と勉強の両立をするためには、時間管理や体調管理などいろいろな力が必要です。
子どもの様子を見て、両立ができそうならば以下の勉強方法を試してみてください。
・「朝の時間」を使って少しずつ勉強する
・通学の電車の中で勉強する
・昼休みに少し(10分程度)昼寝をして、授業の集中力を高める
・帰宅後15分はその日の復習をする など
時間がない中での部活動と勉強の両立は自己肯定感を引き上げることができるので、子どもが大きく成長します。
子どもがどのように感じているかを確認し、両立ができるようならば部活動を続けるように応援してあげてください。
具体的に家での学習方法を、親子で考えるのもおすすめです。
しかし授業の内容が理解できていないと、しんどく感じることも事実です。
この場合は、何を優先すべきか話し合い、部活動を辞めることも選択に入れてあげるとよいでしょう。
子どもが成長できる選択を!
子どもが部活動を辞めたいと親に相談してきたときの対応法をご紹介しましたがいかがでしたか?
子どもはいつも頑張りたいと思っています。
しかし、いつの間にか頑張れない環境になってしまうのです。
親が「子どもが部活動をやめたい理由」をわかっていれば、子どもを頑張れる環境に戻してあげることができます。
部活動は学校教育の一部であり、子どもが安心して過ごせる場所でなければ意味がありません。
親が味方になってくれると、子どもはもう一度喜んで部活動に取り組むようになります。
部活動が子どもにとって良い環境にできそうならば続ける、無理そうならばやめてもよい
このスタンスで、子どもにとって最良の選択になるように、子どもと一緒に部活動との付き合い方を考えてあげてほしいです。
大切なのは、親が子どもの成長のために”何をしてあげたいか”ということです。
部活動の環境が子どもにとって良くないものならば、無理に部活動を続ける必要はありません。
しかし子どもの心や体が未熟で部活動に対して後ろ向きになっているならば、もう一度前向きになるようにサポートしてあげてください。