教師術

【安全安心の環境作り】清掃指導・教室の環境整備で学級経営が決まる!

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本記事は、学級経営の清掃指導・環境整備のポイントについてです。

「学級経営が上手くいかず、学級が荒れてしまうかもしれない」と不安だ。

子どもたちが、まったく自分の言うことを聞く様子がない。

学級が荒れていて教室が汚い。

このように、学級経営に悩んでいる先生は多いです。いろんな子どもがいるので、学級経営は一筋縄にはいきません。

しかし、荒れている学級や学校には、ある一定の特徴があります。それは、清掃指導・環境整備が出来ていないことです。

今回は、学級経営の要とも言える「清掃指導・環境整備」についてお話しします。

雪乃
雪乃

毎日の学級経営にお疲れの先生は、きちんとした清掃指導・環境整備に取り組んでみてください。

清掃指導・環境整備は「安心安全の環境作り」の要

学級経営で大切なことはたくさんあります。先生によってもいろんな考えがあります。

しかし、学級経営の中で一番簡単に出来ることで、効果抜群なのが「清掃指導・教室の環境整備」です。

ある先生は、「学級経営で一番大切なことは、子どもや保護者との関係を築くこと」と考えるかもしれません。

それは間違いないのですが、子どもや保護者との関係はいろんな人がいて、担任との相性もあるため、必ずうまくいくとは限りません。

人間関係を構築するよりもはるかに簡単で、すぐに実践できることが清掃指導・環境整備です。

初担任の先生や、学級経営にあまり自信がない先生は、学級経営に対する不安をもっています。学級経営に不安があると、「あれもこれもしないといけない」と思って結局すべてが中途半端になってしまいます。

学級経営は多岐に渡りますが、まずは「教室を安心安全の環境」にすることができると、学級経営に自信がもてるようになります。

雪乃
雪乃

子どもは学校で、「勉強を頑張りたい」「部活動を頑張りたい」「友達と仲良くしたい」と思っています。子ども達がそれらを実践するためには、学校が不安で危険な場所であってはならないのです。

子どもたちは一日の大半を学級・教室で過ごします。学級経営で大切なことは、子どもが安心安全に過ごせる環境を作ることです。

「安心安全の環境」は自然に出来上がるものではありません。子どもに規則を守らせ、担任と子どもたち全員で「安心安全の環境」をつくっていきましょう。

教師の仕事は「子どもに規則を守らせること」。子どもたちの仕事は「規律を守ること」です。

「安心安全の環境作り」の要となる清掃指導・環境整備を実践していきましょう。

清掃活動・環境整備の4つの効果

清掃活動は毎日学校で行われていますか?「掃除の時間」のとり方は学校によって異なりますが、だいたいの学校が以下に当てはまるはずです。

・ほぼ毎日、全員で掃除を行う学校

・ほぼ毎日、当番制で掃除を行う学校

・隔日で、全員で掃除を行う学校

・隔日で、当番制で掃除を行う学校

掃除の頻度や制度が違っても、必ず全員が学校のどこかを掃除するようになっています。

雪乃
雪乃

掃除の時間は、子どもたちの時間を使って活動する大切な時間なので、十分な効果を発揮できるように行いたいものです。

まずは、清掃活動・環境整備がもたらす4つの効果についてお話しします。

授業に集中する環境を作ることができる

心を落ち着かせることができる

少しの変化に気付くことができる

人に感謝できる

一つずつ見ていきましょう。

授業に集中する環境を作ることができる

まずは教室の環境について、チェックしてみてください。

□ ゴミが床にたくさん落ちている

□ 黒板が汚く、黒板の下もチョークの跡で汚れている

□ ゴミ箱がゴミであふれている

□ 教卓の上や棚が散らかっていて、物があふれている

□ 教室の掲示で授業や学習に関係のない物がたくさんある

□ ロッカーの上や前に、物や子どもたちの私物が大量に置かれている

□ 机の横のフックに物がかかっていたり、机の周りの床に物を置いたりしている

□ 机の上に不要な物を出している子どもが多い

□ 机や教室の壁などに落書きが多い

雪乃
雪乃

以上の項目で当てはまるものが多い教室では、子どもたちは授業に集中することが難しいです。

たくさんの項目が当てはまる教室を想像するだけで、しんどい気持ちになりますよね・・・。

□ 教室の床にゴミ・ほこりが落ちていない

□ 黒板と黒板の溝がきれいである

□ 黒板消しとチョークが必要分だけ置かれている

□ 黒板の下の床が汚れていない

□ ゴミ箱はゴミであふれていない

□ 掃除道具入れはキレイにしている

□ 教卓の上や中、棚が整理整頓されている

□ 学級文庫がキレイに並べられている

□ 教室の掲示は必要な物だけに絞られている

□ 子どもたちの荷物はロッカーの中か、机の中にすべて入っている

□ 机や教室の壁などに落書きがない

雪乃
雪乃

以上の項目は、チェックがあればあるほど「子どもたちが授業に集中しやすい環境」です。

教室環境は、先生によってこだわりがある部分もあると思いますが、これらの項目が当てはまる教室はスッキリきれいな状態ですので、子どもたちが安心して過ごせる教室になりやすいことは確かです。

・教室には不要な物は置かず、必要な物だけ置きましょう。

・物はすべて整理整頓しましょう。

心を落ち着かせることができる

教室が散らかったり、汚かったりすると、子どもたちはイライラしやすくなります。

ゴミが教室の床にたくさんあると、子どもはゴミを床に捨てます。

ロッカーの上や前に物がたくさん置かれてあると、子どもはそこに物を投げ置きます。

机の周りに荷物が多いと、教室内を歩きにくくなり、ストレスがたまります。

このような環境では、子どもたちは「これぐらい良いか」という考えになってしまいます。「何か嫌で、落ち着かない」とか、「自分たちの教室は汚いけどしょうがない」とか。落ち着いた気持ちで教室にいることができなくなってしまいます。

整った教室では、子どもは心を落ち着かせることができるのです。

少しの変化に気付くことができる

ゴミがたくさん落ちている教室に、紙くずを1つ落としました。

この場合、誰もその紙くずに気付きません。

紙くずが1つ落ちたところで、大した変化はないため、誰も気に留めません。

これは大問題です。

しかし、清掃の行き届いている教室では、子どもは紙くずをポイッと捨てようとはしません。

キレイな教室では、誰もが紙くずに気付きます。

「紙が落ちましたよ。」「ゴミはゴミ箱に捨てましょう。」

そんな声かけがすぐにできます。

キレイな教室では、環境の変化に気付き、子どもたちの行動を集中して観察することができます。

人に感謝できる

教室がキレイ。廊下がキレイ。手洗い場やトイレがキレイ。

子どもたちが、きちんと清掃活動をしている場合、「キレイな状態」に気付くことができます。

「自分が掃除したから、教室にゴミが落ちていない」

「黒板をキレイにしてくれる子がいるから、自分の学級の黒板はいつもキレイだ」

「○組の子たちがトイレを掃除してくれているから、トイレがキレイで嬉しい」

掃除をすることで、どれだけゴミやほこりが出るか、雑巾がどれだけ汚れるか、を知ることができます。清掃活動をしていると、キレイな状態を保つために、誰かが掃除してくれていることに気付けるようになるのです。

雪乃
雪乃

「自分たちのために頑張ってくれている、仲間の誰かに感謝する」ことができると最高ですね。

清掃活動の5つのポイント

子どもたちに清掃活動を積極的に行わせるための5つのポイントは以下の通りです。

一年間を通して「みんなで安心安全の環境を作る」ことを伝える

班活動にして1人が1つの仕事をやり切る

子どもに自己チェックをさせる

清掃場所はある程度の期間固定する

教師も一緒に清掃する

一つずつ見ていきましょう。

一年間を通して「みんなで安心安全の環境を作る」ことを伝える

学級経営の大前提は「みんなで安心安全の環境を作る」こと。これを一年間、子どもたちに徹底して意識させます。

安心安全の環境作りの一環として、清掃活動があることを伝えましょう。

学級が「自分たちが頑張れる環境」であるかどうか、自分たちで作れているかどうか、を子どもたちに問いかけることが大切です。

雪乃
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できている場合は、大いに褒めてあげてくださいね。

班活動にして1人が1つの仕事をやり切る

清掃活動は班で行うのがベストです。

清掃場所ごとに班を当て、責任をもって担当場所を清掃させます。

教室の場合は「ほうきと机運び、ちりとり」「ぞうきんと机運び」「黒板と黒板下のぞうきん」に分類し、掃除時間をフルに有効活用できるように担当を決めます。

掃除時間に暇をしている子どもがいないように、全員が流れるように掃除できるように、仕事を分担することが大切です。

子どもに自己チェックをさせる

「今日の清掃活動はどうだったか?」を子どもに自己チェックさせるようにしましょう。自分の担当をきちんとできたか、掃除の振り返りをすることが大切です。

子どもは「きちんと掃除できる子」が好きです。子どもは「掃除をサボるヤツ」が嫌いです。

子どもたちは知らずしらずのうちに、掃除で友達を評価しています。信頼できる子かどうかを確認しています。

雪乃
雪乃

自分をごまかすことがないように、班の子たちから信頼されるように、清掃活動に取り組ませることが大切です。

清掃場所はある程度の期間固定する

担当の清掃場所は、ある程度長い期間固定すると良いです。

教師によっては一学期の間、ずっと同じ場所を掃除させるという学級もあります。ある子の担当は「一学期は教室のぞうきんと机運び」ということです。

一学期間は長過ぎる、と感じる場合は一ヶ月(4週間)、2週間ごとに清掃場所を変更する、でも構いません。

1週間ごとに清掃場所を変えるよりも、ある程度長期間、担当を固定することで、子どもの責任感が増します。

子どもは、自分のやるべきことがわかると、きちんと取り組みます。

雪乃
雪乃

「自分の担当は〇〇だ」と理解させ、体に染み込ませてあげることです。

教師も一緒に清掃する

清掃指導は教師が子どもに「あれをやれ」「これをやれ」と指図することではありません。

もちろん声掛けはたくさんしたら良いのですが、教師が掃除している様子を子どもたちに見せることも大切です。

特に、ぞうきんを使って掃除をしましょう。水回りの排水溝を掃除しましょう。

一番汚いと分かっている所を掃除している姿を、お手本として見せてあげましょう。

雪乃
雪乃

「安心安全の環境作り」を教師も進んで行っていることを見せることで、子どもたちも積極的に掃除をするようになります。

【整理整頓と整列】環境整備の2つの実践方法

次に、教室の環境整備の2つの実践方法についてお話しします。ポイントは整理整頓と整列です。整理整頓と整列も、教師と子どもみんなで行います。

子どもたちの整理整頓と整列

教師の整理整頓と整列

では、実際に何をすればよいのか、見ていきましょう。

子どもたちの整理整頓と整列

教室で、子どもたちが整理整頓に使える場所は、ロッカーと机の中だけです。したがって、ロッカーと机をキレイな状態に保つことが大切です。

子どもたちの整理整頓

まずは整理整頓から。次のポイントを子どもたちに紹介してあげてください。

【整理整頓のポイント】

・学校に置いて良い物は、すべてロッカーに入れる

・ロッカーでは、教科書やファイルなどを立てて入れる

・毎日持って帰る物は、登校後に机の中に入れる

・プリントは配布されるたびに、ファイルに入れて保管する

・授業中は教科に必要な物だけを机の上に置く

・下校時は机の中を空っぽにする

これらのポイントを実践できれば、子どもたちのロッカーと机は整理整頓され、常にキレイな状態を保つことができます。

雪乃
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ちなみに、部活動でテニスラケットやサッカーボール、野球のバットなど、長い物や大きい物を使う場合、特別にそういう物を置くスペースを作ってあげましょう。

以下のように、教師が物を置く場所を決めて、子どもにルールを守らせるようにしてください。

「テニスラケットや野球のバットはロッカーの上に置いてもOK」

「サッカーボールは〇〇番~〇〇番のロッカーに置いてOK」

子どもたちの整列

次は整列です。子どもたちに整列させる物は「机」です。教室の机がキレイに整列していると、本当に教室が整って見えます。

子どもたちに整列させるポイントは以下の通りです。

【机の整列】

・号令をするときに「机を整える」を加える

「起立」は立つ、椅子を机の中に入れる

「机を整えてください」で、縦の列、横の列を揃える

「服装を整えてください」で、身だしなみの確認をする

「気をつけ」

「礼」1・2・3を数える

開始は「よろしくお願いします」、終わりは「ありがとうございました」

・朝の会から終わりの会まで、すべての号令で行う

朝の会、授業ごと、終わりの会で「机を整える」のです。

雪乃
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ちなみに、机を整えた後に、服装も整えています。この号令も、慣れればすぐにできます。

この号令で休み時間との区別をきちんとつけ、子どもたちのダラダラした雰囲気を断ち切ることができます。

机が整列していることが当たり前になると、気持ちが良い教室を作ることができます。

教師の整理整頓と整列

整理整頓と整列は、子どもたちにだけさせるわけにはいきません。教師も進んで、教室の整理整頓、整列を行いましょう。

教師の整理整頓

教師がする整理整頓は、以下の項目があります。

【整理整頓】

・子どもたちの整理整頓をチェックする

→子どもたちが使って良い場所(ロッカーの中、机の中)に物を置いているか

→机間巡視し、子どもたち全員に声掛けをする

→机の横に物をかけていたり、荷物をしまえていない子どもに行動させる

・掃除道具入れもキレイに使われているか確認する

・教卓の上には物を置かない

・教卓の中は必要な物だけを置き、整理整頓する

→前々の配布物を教卓の中にためない

・棚の中も必要な物だけを置き、整理整頓する

→学級文庫はキレイに並べた状態を保つ

子どもたちのロッカー、机と掃除道具入れは整理整頓のチェックをしましょう。きちんとできている場合は、褒めてあげることが大切です。

雪乃
雪乃

子どもたちに「落ち着いた環境で過ごしてほしい」ということを繰り返し伝えると良いです。

終わりの会が終わった後に、教室が整理整頓できているかを確認するようにしてください。

教師の整列

子どもたちは、机の列を整えました。教師も同じです。

・号令のたびに、教卓を列の中心に整える。

子どもたちの机の列が整っているのに、教卓だけ歪んでいたら違和感を感じます。「整っていないと気持ち悪い」環境を作れたら良いです。

終わりの会が終わった後に、子どもたちの机の列が整っているかを確認して、一日を締めくくりましょう。

学級みんなで整理整頓と整列を

教室環境は、学級のみんなが整理整頓と整列をすることで、整備されます。

「○○先生の教室はキレイ」と言われる環境を、教師と子どもたちで作っていきましょう。

環境整備のポイントはたくさんありますが、

・まずは教師がやる

・子どもたちに指示をする

・教師が都度アドバイスをする

・子どもたちに習慣化させる

・教師が1日の終わりに確認する

この流れで、環境整備を習慣化させ、1日の終わりに一番キレイな状態にリセットすると良いです。

雪乃
雪乃

一学期の始めから一貫して「安心安全の環境を作る」ことを伝え、学級経営に役立てて見てください。

「今、学級が荒れていて、教室が汚い」という学級でも大丈夫です。「最近教室が汚いと思う」と、子どもたちに伝えることから始めていきましょう。

【みんなで清掃活動・環境整備】学級経営の基本

人は、キレイな落ち着いた環境が好きです。

ある程度汚れていないと落ち着かない、と感じる人もいるかもしれませんが、学校は集団活動の場所です。どれだけキレイにしていても、たくさんの人が活動する場所は散らかり、汚れていきます。

集団活動の場をキレイな状態に保つためには、教師と子どもたちが協力して清掃活動・環境整備するしかありません。

きちんとした清掃活動・環境整備は、子どもたちにも教師にも、良い効果しかありません。

雪乃
雪乃

「学級経営が上手くいっていない」「子どもたちが言うことを聞かない」などの悩みがある先生は、まずは清掃活動・環境整備です。

清掃活動・環境整備の大切さを子どもたちに理解させ、安心安全の環境作りができる学級をつくっていきましょう。

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